「コミュニティ」基点の集客術|ファンが熱狂し、自然と人が集まる仕組み
2025年12月24日

「広告費が年々高騰し、CPA(顧客獲得単価)が合わなくなってきた」「SNSで情報を発信しても、一方通行で手応えがない」
Webマーケティングの現場では、こうした切実な悩みを多く耳にします。私自身、クライアントの集客戦略を支援する中で、従来の「広告を投下して、刈り取る」という手法だけでは、持続的な成長が難しくなっていると肌で感じています。
ユーザーは賢くなり、あからさまな広告を避けるようになりました。そんな時代に、広告だけに頼らず、「ファンが熱狂し、自然と人が集まる仕組み」を作れないか。その答えこそが「コミュニティ」基点の集客術です。これは単なるテクニックではなく、顧客と長期的な信頼関係を築き、ビジネスの強固な基盤を作る、これからの時代に必須の戦略です。ここでは、具体的な運営手法からUGC(ユーザー生成コンテンツ)を生み出す仕組みまで、私の実体験や分析を交えながら解説します。
目次
1. 広告だけに頼らない持続可能な集客とは
「集客」と聞くと、多くの方はリスティング広告やSNS広告を思い浮かべるかもしれません。確かに、これらは新規顧客に素早くリーチする強力な手段です。
しかし、これらの手法には共通の課題があります。それは、広告を止めれば、集客も止まってしまう点です。CPA(顧客獲得単価)の高騰は利益を圧迫し、事業の継続を危うくします。
私がSEOコンサルタントとして見てきた中で、成功し続ける企業は、この「フロー型」の集客から脱却し、「ストック型」の集客へとシフトしています。その核心こそが「コミュニティ」です。
持続可能な集客とは、一度築いた顧客との関係性を「資産」として蓄積(ストック)し、その資産が新たな顧客を呼び込む仕組みを指します。顧客やファンとの継続的な接点を持ち、その繋がりを基盤にして、LTV(顧客生涯価値)の向上や、口コミによる新規集客を目指すアプローチです。
考えてみてください。あなたが何かを買う時、広告の言葉と、信頼する友人からの「これ、良かったよ」という推薦と、どちらを信用するでしょうか? 答えは明白です。
| 比較項目 | 従来の広告集客(フロー型) | コミュニティ集客(ストック型) |
|---|---|---|
| 集客の主体 | 企業(広告) | 顧客・ファン(口コミ、UGC) |
| コスト構造 | CPAが発生し続ける。広告費必須。 | 初期運営コストはかかるが、CPAはゼロに近づく。 |
| 顧客との関係性 | 単発的・一方的 | 継続的・双方向 |
| 持続性 | 低い(広告停止=集客停止) | 高い(コミュニティが資産として自走) |
以前、あるBtoBのSaaS企業が、CPA高騰に悩んでいました。そこで、広告費の一部を「既存顧客向けの限定ウェビナー」と「活用事例をシェアするSlackグループ」の運営に振り分けました。結果、顧客満足度とリピート率が改善し、グループ内で生まれた「顧客の生の声」は最強の営業資料となりました。さらに、満足した顧客による「リファラル集客」が増加し、広告費を削減しながらリードの質も向上しました。
関連記事はこちら:未来の広告「クッキーレス時代」の到来|マーケターが今すぐ準備すべきこと
2. オンラインサロンや限定グループの運営
コミュニティ集客を始めるには、「人々が集う場」が必要です。その最も手軽で強力な選択肢が、オンラインサロンや限定グループの運営です。
なぜ、「限定」つまりクローズドな空間に価値があるのでしょうか?
誰でも見られるオープンなSNSとは異なり、クローズドな環境は、参加者に特別な「帰属意識」をもたらします。「自分はこのグループの一員だ」という意識が、コミュニティへの愛着と貢献意欲を高めるのです。
また、クローズドな場は「心理的安全性」を担保しやすいメリットがあります。オープンな場では言いづらい本音の悩みや初歩的な質問も、「この仲間なら分かってくれる」という信頼のもとで発言しやすくなります。
代表的なプラットフォームには、それぞれ異なる特徴があります。
| プラットフォーム | 特徴 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|
| Facebookグループ | 実名制が基本。スレッド型で議論が深まりやすい。 | 導入ハードルが低い。信頼性が高い。 | 若年層には不向きな場合も。 |
| Discord | チャット、音声通話がシームレス。多機能。 | リアルタイムの交流に強い。クリエイター層に普及。 | 多機能ゆえに操作が難しい場合がある。 |
| Slack | ビジネスチャット。スレッド機能や連携が豊富。 | 情報が整理しやすい。BtoBと相性が良い。 | 無料プランでは過去ログの閲覧制限あり。 |
プラットフォーム選びは、「コミュニティの目的」と「参加者の属性」によって決まります。しかし、プラットフォームは「器」にすぎません。本当に重要なのは「運営」です。
- 明確なルールと目的の共有コミュニティの「憲法」です。「この場所は何のためにあり、何を大切にするのか」を明文化し、掲示することが不可欠です。
- 参加の「儀式」を作る新メンバーが孤立しないよう、「自己紹介専用スレッド」を設け、運営や既存メンバーが温かく迎え入れる文化を作ります。
- 「見る専(ROM)」の人も尊重する発言はしなくとも、熱心に情報収集している「ROM (Read Only Member)」も重要な構成員です。発言を強要せず、ROM層の存在を肯定することが、場の居心地を良くします。
3. 顧客同士の繋がりが生み出すUGC(ユーザー生成コンテンツ)
コミュニティ集客が軌道に乗ったかどうかの分かりやすい指標。それは、「UGC(User Generated Content)」が自然発生しているかどうかです。
UGCとは、「ユーザー(顧客)によって生成されたコンテンツ」の総称です。具体的には、SNSでの商品に関する投稿(感想、活用事例)、レビューサイトでの口コミ、コミュニティ内でのノウハウのシェアなどが挙げられます。
なぜ、UGCが重要なのでしょうか? それは、UGCが企業の発信する広告よりも、圧倒的に高い信頼性と影響力を持つからです。
企業の「この商品は素晴らしいです!」という宣伝は当たり前です。しかし、利害関係のない第三者であるユーザーが、自発的に「この商品、最高だった!」と発信したらどうでしょう。その「リアルな声」は、他の潜在顧客にとって非常に強力な購入の後押しとなります。
さらに、UGCは企業側が意図しなかった「商品の新たな魅力」を発掘してくれることもあります。例えば、メーカーが「時短」をウリにしていたのに、コミュニティでは「この器具を使った“丁寧な”週末の食卓」の写真がUGCとして多数投稿され、新たなブランドイメージが確立された、というようなケースです。
コミュニティは、人間の「共感と承認の欲求」を満たすことでUGCを促進します。メンバーがUGCを投稿すると、他のメンバーや運営からポジティブな反応が返ってくる。この成功体験が、次のUGCを生み出すモチベーションとなります。
UGCを意図的に促進するためには、「仕掛け」も必要です。優れたUGCは、積極的に「発掘」し、「表彰」することが欠かせません。
| 施策の分類 | 具体的な施策例 | 目的・効果 |
|---|---|---|
| 投稿のハードルを下げる | ・お題(テーマ)の提供(例:「今週の〇〇」) ・ハッシュタグキャンペーン |
何を投稿していいか分からない人の背中を押す。 |
| 優れたUGCを表彰する | ・活用事例コンテストの開催 ・「今月のベストUGC」として選定・紹介 |
投稿者の承認欲求を満たす。UGCの質を高める。 |
| インセンティブを提供する | ・メンバーインタビュー記事の作成 ・限定グッズやデジタルバッジの付与 |
金銭ではなく、「名誉」や「特別な体験」を提供し、ロイヤリティを高める。 |
UGCが活発なコミュニティは、企業が広告費をかけなくても、メンバーが自発的に「営業マン」として活動してくれる状態と言えます。
4. イベントやミートアップで醸成する一体感
オンラインでの交流は効率的ですが、テキストだけでは伝わりきらない「熱量」があります。
コミュニティの「一体感」を劇的に高め、メンバー同士の絆を強くするのが、イベントやミートアップの開催です。
なぜイベントを行うのか? それは、オンラインでの「点」の繋がりを、リアル(あるいはリアルタイム)での「面」の繋がりに進化させるためです。普段はチャットでしか見ない人と直接顔を合わせて話す。こうした「共通体験」こそが、コミュニティへの帰属意識を高める起爆剤となります。
オフラインイベントの価値(ミートアップ、ファンミーティング)
オフラインの最大の価値は、「偶然の出会い(セレンディピティ)」と「非言語的な熱量の共有」にあります。会場の盛り上がりや登壇者の熱意は、強烈な一体感と満足感を生み出します。
オンラインイベントの利点(ウェビナー、Zoom交流会)
一方、オンラインイベントには、「参加ハードルの低さ」(地域や時間を問わない)や「開催コストの低さ」という大きな利点があります。Zoomなどの機能を使い、リアルタイムで質問を募集するなど、大規模でも双方向性を担保しやすい側面もあります。
イベント成功の鍵は「目的」と「参加型」
以前「とにかく集まろう!」と目的を曖昧にした懇親会を開いた際、参加者は内輪で固まり、新規参加者は孤立してしまいました。この失敗から学んだのは、イベントは「目的を明確にすること」と「参加者を傍観者にしないこと」が鉄則だということです。
| 開催形式 | メリット | デメリット・注意点 | 成功のポイント |
|---|---|---|---|
| オフラインイベント | ・熱量や一体感が最も伝わりやすい。 ・偶然の出会いが生まれやすい。 |
・コストと準備の手間が大きい。 ・参加できる地域や時間が限定される。 |
・参加者同士が交流できる「仕掛け」(名札、グループワーク)を用意する。 |
| オンラインイベント | ・開催コストが低い。 ・地域を問わず集客が可能。 |
・一方的な情報提供になりがち。 ・集中力が途切れやすい。 |
・チャットやQ&A機能をフル活用し、参加者を「傍観者」にしない。 |
参加者が受け身にならず、能動的に関われる「仕掛け」を設計することが、イベントの満足度を左右します。
5. 顧客を「ファン」から「メンバー」へ
コミュニティ運営において、最も重要だと考えられる概念の転換。それは、顧客を「ファン」として扱うのをやめ、「メンバー」として迎えることです。
「ファン」とは、ブランドや商品を「消費」する人、受け手です。関係性は「企業 → ファン」の一方通行です。飽きれば去っていく可能性もあります。
一方で「メンバー」とは、コミュニティに「所属」し、「参加」する人です。彼らは単なる消費者ではなく、そのコミュニティを構成する「当事者」としての意識を持っています。
なぜ、顧客を「メンバー」化することが持続可能な集客に繋がるのでしょうか?
理由は、メンバーは、コミュニティを「自分ごと」として捉えるからです。コミュニティが盛り上がれば自分のことのように喜び、問題が起きれば解決のために能動的に貢献しようとします。例えば、新メンバーを運営に代わってサポートしたり、UGCを自発的に投稿したりします。
ファンは「与えられる」ことを期待しますが、メンバーは「貢献する」ことに喜びを見出すのです。この「当事者意識」こそが、コミュニティを自走させるエンジンとなります。
では、どうすれば顧客(ファン)は「メンバー」へと意識を変えてくれるのでしょうか。それには、企業側(運営側)からの能動的な「仕掛け」が欠かせません。
- 1. 役割(居場所)を与える人は「自分はここで必要とされている」と感じたときに、その場所に強くコミットします。例えば、「ベテランメンバー」として新人のメンター役をお願いする、イベントの司会を依頼するなど、小さな「役割」が当事者意識を生みます。
- 2. 意見を求め、共に創る(共創)「次回の新商品は、AとBのどちらが良いですか?」と、企業の意思決定プロセスにメンバーを巻き込む(=共創)ことは非常に強力です。自分の意見が反映されると、それは「他人の商品」ではなく「自分たちが育てた商品」へと変わります。
- 3. 運営の「中の人」を見せる完璧な「運営チーム」として振る舞うのではなく、開発の苦労話、運営者の想い、時には失敗談さえも率直に共有します。企業の「顔」ではなく、一人の「人間」としての側面を見せることで、メンバーは運営者を「仲間」として認識します。
顧客を「ビジョンを共有し、共に未来を創るパートナー」として扱う。この姿勢こそが、「最強のメンバー」へと変貌させる鍵なのです。
6. コミュニティマネージャーの重要な役割
素晴らしいプラットフォームがあっても、それだけでは活気あるコミュニティは生まれません。コミュニティは「自然発生」するものではなく、意図的に「育成」するものです。
その「育成」の中心的役割を担うのが、「コミュニティマネージャー(通称:コミュマネ)」です。この存在なくして、コミュニティの成功はあり得ません。コミュニティの成否は、コミュニティマネージャーの質で9割決まると考えられます。
優れたコミュニティマネージャーの役割は「管理人(Manager)」ではなく、「触媒(Catalyst)」です。つまり、メンバー同士の化学反応を誘発し、コミュニティ全体の熱量を高める「きっかけ」を作る専門家です。
彼らの具体的な業務は多岐にわたります。
- ファシリテーション(場の活性化)これが最も重要な役割です。自ら「火種」となる質問を投げかけたり、素晴らしい投稿に光を当てたりします。特に、新メンバーが孤立しないよう、積極的に声をかけ、既存の会話に巻き込んでいく「繋ぎ役」としてのスキルは不可欠です。
- コンテンツとイベントの企画メンバーが「ここに居続けたい」と思う理由、すなわち「コミュニティの価値」を創造し続けます。限定コンテンツやイベントを企画・実行します。
- カルチャー(文化)の醸成と維持コミュニティには独自の「空気」があります。コミュニティマネージャーは、運営が目指す「あるべき姿」を自ら体現する「伝道師」であり、文化を乱す行為には冷静に対応する「守護者」でもあります。
| 求められるスキル | 具体的な行動 | なぜ重要か |
|---|---|---|
| 傾聴力・共感力 | メンバーの発言の「裏」にあるニーズを読み取る。まず受け止める。 | メンバーとの信頼関係の土台。「安心感」を生む。 |
| ファシリテーション力 | 会話を促進する質問を投げかける。議論をまとめる。新人を紹介する。 | コミュニティの「熱量」を維持・向上させ、繋がりを生み出すため。 |
| 冷静な対応力 | ルール違反や対立に、感情的にならず、ルールに則って対処する。 | 炎上を未然に防ぎ、コミュニティの「秩序」と「心理的安全性」を守るため。 |
この「人」への投資こそが、コミュニティ集客の成功率を最も高めるレバレッジポイントなのです。
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7. 炎上を防ぎ、健全なコミュニティを育てる
「人が集まる場所には、必ず摩擦が起きる」
これは、コミュニティ運営において避けられない真理です。活気があればあるほど、多様な価値観がぶつかり、トラブルが発生するリスクは高まります。最悪の場合、「炎上」状態となり、コミュニティが崩壊することさえあります。
炎上はブランドのレピュテーション(評判)に深刻なダメージを与え、SEOの観点からも指名検索(ブランド名での検索)に悪影響を及ぼしかねません。
では、どう向き合えばよいのでしょうか。答えは「炎上をゼロにしようとしないこと」、そして「炎上の兆候を素早く察知し、適切に対処する『仕組み』を整えておくこと」です。
コミュニティが「荒れる」典型的なパターンには以下のようなものがあります。
- メンバー間の対立:価値観の違いによる口論、特定のメンバーへの攻撃。
- 運営への過度な批判:運営方針への不満がエスカレートし、運営を公然と批判する。
- ルール違反者の放置:迷惑行為(過度な宣伝、誹謗中傷)を運営が放置し、良識あるメンバーが去る。
- 「古参」による内輪ノリ:古くからのメンバーが内輪ネタで盛り上がり、新規メンバーが入り込めない。
こうした事態を防ぎ、コミュニティの「健全性」と「心理的安全性」を守るためには、いくつかの防衛策が不可欠です。
- 明確で公正な「ルール」の設定と明示これが全ての土台です。何を称賛し、何を禁止するのか。「ガイドライン」を明示し、参加時には必ず同意してもらうプロセスを踏むべきです。「どうすれば皆が快適に過ごせるか」というポジティブな視点で策定することが重要です。
- 迅速かつ毅然とした「対応プロセス」の確立ルール違反を発見したとき、感情的に対応するのは最悪です。事前に「対応マニュアル」を整備しておく必要があります(例:【1】該当投稿の非表示 → 【2】違反者へDMで警告 → 【3】再違反で強制退会)。このプロセスを、誰に対しても公平に適用する毅然とした態度が、コミュニティ全体の信頼に繋がります。
| コミュニティの「炎上」兆候 | 初期対応(コミュマネの行動) | 予防策(平時の備え) |
|---|---|---|
| 特定のメンバーへの批判が続く | 公の場での議論を停止させ、当事者双方に個別にDMで事情を聞く。 | 「他者への敬意」をガイドラインで明確に定める。 |
| 運営への不満が公の場で頻発する | 感情的な批判には反応せず、「改善提案」として受け止め、感謝を述べる。 | 「要望スレッド」を設置し、不満の受け皿を作る。 |
健全なコミュニティとは、「問題が一切起きない場所」ではなく、「問題が起きても、自浄作用を発揮できる場所」です。
8. コミュニティから生まれる新しいビジネスチャンス
コミュニティ集客の目的を、「集客コストの削減」だけに留めてしまうのは、もったいないことです。
なぜなら、熱量の高い顧客がリアルタイムで交流するコミュニティは、企業にとって「顧客インサイト(本音)の宝庫」であり、「新しいビジネスチャンスの孵卵器」でもあるからです。
従来の市場調査では「建前」の意見が集まりがちですが、コミュニティという心理的安全性が担保された場では、顧客は驚くほど率直な「本音」を漏らしてくれます。「この機能、本当はこうなってほしい」「こんな商品があったら絶対に買うのに」。
これこそが、最強のR&D(研究開発)部門として機能するのです。
コミュニティから派生する具体的なビジネスチャンスには、以下のようなものが考えられます。
- 1. 商品・サービスの共同開発(共創)これが最も強力なチャンスです。コミュニティで頻繁に話題に上がる「不満」や「要望」は、そのまま新商品や新機能のアイディアリストになります。さらに進んで、その開発プロセス自体にメンバーを巻き込む「共創(Co-Creation)」が可能です。私が以前関わったあるコミュニティでは、ユーザーの「こういう使い方がしたい」という投稿が、次の新機能として採用されました。メンバーのアイディアが形になる。これほど強力な体験はありません。
- 2. アップセル・クロスセルの自然な機会創出コミュニティは、顧客の「教育の場」としても機能します。初心者がベテランメンバーの使い方(UGC)を見て、「そんな便利な使い方があるのか!」と学び、商品のポテンシャルを最大限に引き出せるようになります。活用レベルが上がることで新たな欲求が生まれ、そのタイミングで上位プランや関連商品を提示することで、広告的な売り込みをせずとも、自然な流れでアップセルやクロスセルに繋がるのです。
コミュニティは、単なる「顧客の囲い込み」の場ではありません。顧客と企業がフラットに繋がり、共に新しい価値を創造していく「イノベーションの実験場」なのです。

9. 究極のロイヤリティが最強の集客になる
コミュニティが成熟し、メンバーが「当事者意識」を持ち、共創の体験を通じて運営との間に強い絆が生まれると、彼らのブランドに対する「ロイヤリティ(忠誠心)」は、単なる「好き」という感情を超えたレベルに達します。
ロイヤリティには進化の段階があります。
- 段階1:取引ロイヤリティ:「安いから買う」「便利だから使う」という、機能や価格に基づいた合理的なもの。
- 段階2:感情ロイヤリティ:「このブランドが好き」「運営者を応援したい」という、情緒的な繋がり。「ファン」の状態。
- 段階3:コミュニティ・ロイヤリティ:「この仲間が好きだから、この場所に居続けたい」という、場所や所属する人々への帰属意識。
この「コミュニティ・ロイヤリティ」こそが「究極のロイヤリティ」です。たとえ商品やサービスに多少の不満(例:値上げ)があったとしても、顧客は「仲間との繋がり」を失いたくないために、そのコミュニティ(=ブランド)に留まり続けるからです。これは、ビジネスにおいて最強の「防衛壁」となります。
そして、この究極のロイヤリティこそが、最強の集客エンジンとして機能し始めます。
コミュニティ・ロイヤリティが最高潮に達したメンバーは、「ブランドの伝道師(アンバサダー)」へと進化します。
彼らは、企業から頼まれなくても、自発的に以下のような行動を取り始めます。
- 自分の友人や知人に対し、「自分の信頼」を担保にして、「あのコミュニティは最高だから、君も入った方がいい」と熱烈に推薦する。(リファラル集客)
- SNSやブログで、「このコミュニティと出会って、私の人生はこう変わった」という、熱量の高いUGC(体験談)を発信する。
- コミュニティ内で、新規メンバーの疑問に答えたり、運営をサポートしたりと、自ら「おもてなし」役を担う。
この段階に至ると、企業が広告費を投下しなくても、熱量の高い「伝道師」たちが、次の熱量の高い「新規顧客」を自動的に連れてきてくれるという、「集客の永久機関」が回り始めるのです。
この現象は、GoogleがE-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)を重視する現代のSEOトレンドとも深く関連しています。リアルなユーザーによる熱量の高いUGCや自然な言及は、ブランドの「信頼性」を担保する最強のシグナルとなり得るのです。
10. 企業と顧客の新しい関係性を築く集客
「コミュニティ」基点の集客術は、従来のマーケティング手法とは根本的に異なる思想に基づいています。
従来の集客が、企業と顧客を「売る側(狩人)」と「買う側(獲物)」という一方的な関係性として捉えていたのに対し、コミュニティ集客は、企業と顧客を「共通の目的や価値観を持つパートナー」として捉え直すアプローチです。
| 企業側(運営側)が得るもの | 顧客側(メンバー)が得るもの | |
|---|---|---|
| ビジネス的価値 | ・LTVの向上、解約率の低下 ・集客コスト(CPA)の削減 ・リアルな顧客インサイトの獲得 |
・他では得られない限定的な情報 ・課題解決のノウハウ |
| 感情的・社会的価値 | ・顧客からの直接的な感謝と応援 ・「伝道師」の育成 |
・帰属意識(「居場所がある」安心感) ・共通の価値観を持つ「仲間」との繋がり ・承認欲求(貢献が認められる喜び) |
この表で最も注目すべきは、顧客側(メンバー)が得る「感情的・社会的価値」です。現代社会において、人々はモノや機能的な価値だけでは満たされません。「誰かと繋がりたい」「何かに所属したい」「誰かの役に立ちたい」という、根源的な欲求を抱えています。
コミュニティは、まさにその欲求を満たす「受け皿」となるのです。
だからこそ、人々は熱狂し、その場所に集まります。企業が提供すべきは、商品そのものだけでなく、それらを通じて得られる「素晴らしい体験」と「誇れる居場所」なのです。
これからの集客は、どれだけ多くの人に「リーチ」するかという「量」の戦いから、どれだけ少数の人を「熱狂」させ、深い関係性を築けるかという「質」の戦いへと、完全にシフトしていきます。そして、どんなにテクノロジーが進化しても、この集客術の核心は「顧客を一人の人間として尊重し、誠実に対話を試みること」に尽きます。
コミュニティ集客こそが、持続可能なビジネスの核心である
広告費の高騰とユーザーの広告疲れが顕著な現代において、広告だけに依存した「フロー型」の集客は限界を迎えています。これからの時代に求められるのは、顧客との継続的な関係性を「資産」として蓄積する「ストック型」の集客、すなわち「コミュニティ」基点の戦略です。
この記事で最も伝えたかったことは、コミュニティが単なる顧客の囲い込みではなく、企業と顧客が「パートナー」として双方向に関わり合う、持続可能な「集客エンジン」そのものである、という点です。オンラインサロンや限定グループという「場」を提供し、イベントで「一体感」を醸成することで、顧客は「消費者(ファン)」から「当事者(メンバー)」へと意識を変えます。
この変革の鍵を握るのが「コミュニティマネージャー」の存在であり、彼ら/彼女らが育む心理的安全性が、UGC(ユーザー生成コンテンツ)の自然発生を促します。そして、コミュニティへの帰属意識から生まれた「究極のロイヤリティ」を持つメンバーは、「ブランドの伝道師」となり、広告費ゼロでも熱量の高い新規顧客を呼び込み続ける、最強の集客サイクルを実現するのです。
この仕組みを構築するために、読者が「今日から」実践できる、ハードルの低い具体的な行動を2つ提案します。
- まずは、既存の顧客(あるいはSNSのフォワー)の中で、最も熱量が高いと感じる5人に「いつもありがとうございます。〇〇についてご意見を聞かせていただけませんか?」と個別に連絡を取ってみてください。コミュニティは、そのたった5人との誠実な対話から始まります。
- 次に、FacebookグループやDiscordサーバーを(無料で)作成し、「〇〇について情報交換する限定グループ」として、その5人を招待することから始めてみましょう。最初から完璧を目指す必要はありません。
コミュニティ運営は、派手な打ち上げ花火ではありません。日々の地道な水やり(コミュニケーション)と雑草取り(ルール維持)の繰り返しです。しかし、その地道な努力だけが、企業と顧客の新しい信頼関係という強固な土壌を育て、広告に依存しない、ファンが熱狂し、自然と人が集まる仕組みを築き上げるのです。
